福島原発のトリチウム、何が問題か 河田昌東(2021年4月12日)

NPO法人チェルノブイリ救援・中部の理事を務める河田昌東さんの論文をご本人の許可を得て、ライプツィヒ大学のシュテフィ・リヒター教授がドイツ語に翻訳し、日本語とドイツ語でSayonara Nukes Berlinのホームページに掲載しました。


現在も続いている福島第一原発からの放射能汚染水流出問題は、今後も簡単には解決出来そうにない。その大きな原因は「トリチウム」にある。原子炉内で溶けた燃料を冷やすために10年経った今も毎日140トンの冷却水を炉心に注入しており、それが汚染水となってたまり続けている。東電の発表では2011年5月~2013年7月にかけて流出したトリチウム量は約20~40兆(20~40×1012)ベクレル(Bq)で、この中には事故直後に流出した高濃度の汚染水や東電が意図的に放出した汚染水中のトリチウムは含まれていないという。また、汚染水に含まれるセシウムその他の放射性元素はALPS(多核種処理装置)で回収できるが、このシステムではトリチウムは処理できない。そのため、ALPS等で処理後のトリチウム汚染水は、タンクに貯蔵しているがその量は既に120万トン、1200個の貯蔵タンクにためられているが、敷地に余裕がなくなり廃炉作業にさしつかえるという。東電や原子力規制委員会はじめIAEAまでもが「海水で薄めて放出」を主張し、政府は福島県民はじめ全漁連や国民の声を無視して、2021年4月13日に、トリチウム汚染水の海洋放出を決めるという

。ではトリチウム水の海洋放出は何故問題なのか。

 

(1)トリチウムって何?

トリチウム(Tritium:略号T)は日本語では三重水素と呼ばれ、化学的性質は水素(H)と同じである。水素は原子核に一個の陽子(P)、その周りを一個の電子(e)が回っている最も小さい安定元素である。トリチウムは原子核に一個の陽子の他に2個の中性子(N)を含み(1P2N)、不安定なため中性子の1個が電子を放出して陽子に変化し、原子核に2個の陽子と1個の中性子を含む(2P1N)新しい元素(ヘリウム He)になって安定化する。この時放出される電子がベータ放射線である。トリチウムの半減期は12.3年である。原子炉の中では、冷却水(H2O)に僅かに含まれる重水(H-O-D)の重水素(D)の原子核に中性子が取り込まれたり、不純物のリチウム-6という物質が分解したりしてトリチウムが出来る。従って、原子炉の冷却を続ける限りトリチウムは新たに生産され続ける。一方、我々が生きている生活圏でもトリチウムは存在する。過去の核実験や宇宙線の影響で、地球上の水の中には1~2Bq/L程度のトリチウムが含まれている。

 

(2)トリチウムは何故除去出来ない?

国や東電、原子力規制委員会などは、トリチウム水は処理できないから海洋放出せざるを得ない、という。何故処理できないのか。トリチウムの化学的性質が水素と同じで、トリチウム(T)を含む水(T-O-H)と通常の水(H-O-H)が区別出来ないからである。セシウム137やストロンチウム90など多くの放射性物質の除去には、その元素の化学的性質を利用し吸着や濾過などを行い除去する。しかし、通常の水とトリチウムを含む水はこうした化学的方法では区別できず除去できない。その結果、沸騰水型原発では原子炉内で年間20兆Bq(20×1012)のトリチウムが生成されるが、その殆どを放出可能な年間22兆(22×1012)Bqの海洋放出基準が定められている(濃度では60000Bq/L)。余談だが、青森県六ヶ所村の再処理工場が通常に稼働すれば、年間1900兆Bq(1.9×1015)を大気中に、1.8京Bq(1.8×1016)を海中に放出する予定である。トリチウムの放出基準は事実上存在せず、現実追認であり原発を運転すれば必ず発生する。これも原発を稼働してはならない原因の一つである。

 

  • トリチウムの何が問題か

トリチウム水は通常の水と同様、経口や呼吸、皮膚を通じて体内に入る。体内でも普通の水と同様に血液や体液を通じて細胞内の様々な代謝反応に関与し、タンパク質や遺伝子(DNA)の中の水素の代わりにその成分として入り込む。体内で水として存在する場合は新たに入ってくる水に置きかわり体外に排出される(生物学的半減期は12日)が、こうした細胞内の有機物の構成成分として取り込まれたトリチウムは容易に代謝されず、その分子が分解されて水になるまで長時間留まり(放射線生物学者ロザリー・バーテルによると少なくとも15年以上)、ベータ線を出し続けることになる(1)。 盛んに細胞分裂する若い細胞ではより多くのトリチウムを成分として取り込む。体内の有機物に取り込まれたトリチウムはOBT (Organic Bound Tritium:有機結合トリチウム)と呼ばれ、セシウムのように単に元素として体内に存在し放射線を出す放射能とは区別が必要だが、国際放射性防護委員会(ICRP)はこの点を過小評価している。トリチウムの出すベータ線はエネルギーが極めて小さく、外部被爆は殆ど問題にならないが、こうして体内の構成成分に取り込まれると、全てのベータ線は内部被曝の原因になる。

 

(4)DNAに取り込まれたトリチウムの問題

トリチウム水を介してトリチウムはDNAの中の酸素や炭素、窒素、リン原子と結合し、化学的には通常の水素原子と同じ振る舞いをするが、半減期とともに電子(ベータ線)を放出して周囲を内部被曝させ様々な分子を破壊する。しかし、それだけではない。トリチウムが壊れヘリウム原子に変わると、トリチウムと結合していた炭素や酸素、窒素、リン等の原子とトリチウムとの化学結合(共有結合)が切断する。ヘリウムは全ての元素の中で元も安定な元素で、他の元素とは結合出来ないからである。その結果、DNAを構成している炭素や酸素、窒素、リン原子は不安定になり、DNAの化学結合の切断が起こる。このように、トリチウムの効果は崩壊時に出すベータ線の被曝だけではなく、一般的な放射性物質による照射被爆とは異なる次元の、構成元素の崩壊という分子破壊をもたらすのである。いわゆる照射被爆は確率論的現象だが、DNAの破壊はトリチウムの崩壊と共に必ず起こる現象である(1)。

 

  • トリチウム汚染で起こること

核実験が始まった1950年代以降、トリチウムの生物学的影響に関する研究は数多く行われている。最も広く知られているのは染色体の切断などの異常である。人リンパ球を使った実験ではトリチウム水に晒された場合、3700Bq/ml位から染色体異常が起こり、370万Bq/mlではほぼ全ての細胞で染色体の切断が起こる。DNAの構成要素の一つチミジンの水素をトリチウムで置換した場合、37Bq/ml位から染色体の異常が始まり19万Bq/mlの濃度では100%の細胞が染色体異常を起こす(2)。生体次元での研究も数多くあり、染色体異常(突然変異)の結果、致死的なガンなどの健康障害が指摘されている。特に問題なのは子宮内胎児への影響である。胎盤は通常の水とトリチウムを区別出来ないため、トリチウム水はそのまま胎児に入り、盛んに分裂中の細胞に取り込まれる。その結果、胎児に異常が起こり死産や早産、流産などの他、様々な先天異常などの原因になる。米国カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立核研究所のT. ストラウムらの研究(3)ではトリチウムによる催奇形性の確率は致死性ガンの確率の6倍にのぼる。カナダのオンタリオ湖はカナダ特有の重水原子炉から出る大量のトリチウムによる汚染が知られている。その結果、周辺地域で1978~1985年の間に出産異常や流死産の増加が認められ、ダウン症候群が1.8倍に増加し、胎児の中枢神経系の異常も確認された(4)

 

このように、トリチウムは放射線のエネルギーが低いためにその影響が過小評価されがちだが、ベータ線被曝だけでなく、生体分子の構成成分の破壊を通じて、他の放射性物質とは全く異なる生物への影響もたらすことが大きな問題である。トリチウムの海洋放出は、政府の言うような単なる風評被害ではなく実害が起こる。

  • 文献
  • Rosalie Bertell : The Health Effects of Tritium (http://www.beyondnuclear.org/)
  • 堀、中井:総説:低レベル・トリチウムの遺伝的効果について:保健物理(1976年)11, p1-11.
  • Straume, T and Carsten, AL.:Tritium Radiobiology and Relative Biological Effectiveness. Health Physics. 65 (6) :657-672;(1993)
  • Tritium Releases from the Pickering Nuclear Generating Station and Birth Defects and Infant Mortality in Nearby Communities :Atomic Energy Control Board, Report INFO-0401 (1991)

河田昌東:1940年秋田県生まれ。2004年名古屋大学理学部定年退職。現在、NPO法人チェルノブイリ救援・中部理事。遺伝子組換え情報室代表。専門は分子生物学、環境科学。

7月21日の福島県でのオリンピック競技に向けたプレスリリース

2021年7月21日のオリンピック開会式に先駆けて、福島県内のあづま球場で行われるソフトボール競技に抗議するため、前日の20日、IPPNW、Ausgestrahlt、私たちSayonara Nukes Berlinの3団体によるプレスリリースを発信しました。

日本語とドイツ語のプレスリリース:

プレスリリースオリンピック開催に先駆けて(日本語)

Start der Olympischen Wettkämpfe in Fukushima am 21. Juli(DE)

Ausgestrahlt

https://www.ausgestrahlt.de/blog/2021/07/20/%C3%A4rztinnen-warnen-vor-olympischen-wettk%C3%A4mpfen-in-fukushima/

YouTube音声配信はじめました! SNBときどきラジオ★選挙に行こう!シリーズ

突然ですが、みなさん、今の日本の政治をどう思いますか? そろそろ変化が必要じゃないかなと思いませんか? 私たちが変化をもたらすことができる一つの方法があります。それは、選挙に行って、投票で意思表示することです。

今年は衆議院選挙もあることですし、「みんなで選挙に行こう!」と盛り上げようということで、SNBメンバーがこの音声配信をドイツからお届けすることになりました。

その名も『SNBときどきラジオ★選挙に行こう!シリーズ』

私たちが「この人に話を聞いてみたい!」という方をお招きして、その方のパーソナル・ストーリーを織り交ぜながら、政治についてどんなふうに向き合っているか、お話をうかがいます。

記念すべき初回のゲストは、ドイツ在住49年フリージャーナリストの永井潤子さんです。永井さんは、まだ在外投票ができなかった時代、ドイツでたったひとりで運動を始めた方です。

外務省の一昨年の統計では、海外に住む日本人の在外投票率はわずか約20%。海外でも投票できるように嘆願運動をした人たちの努力で実現した在外選挙。この努力をむだにしたくはないですね。

■在外選挙制度について■

「在外選挙制度」とは、仕事や留学、移住などで海外に住んでいる人が、外国にいながら国政選挙に投票できる制度です。これによる投票を「在外投票」といいます。在外投票ができるのは、日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、在外選挙人証というカードを持っている人です。 在外選挙人証を取得するまでの手続きには、2か月前後かかります。まだ在外選挙人証を持っていない方は、10月に予定されている衆議院選挙に間に合うように、大使館や領事館を通して早めに手続きしましょう。またこれから海外に行かれる方は、渡航前に登録申請できるようになりましたので、ぜひ申請しましょう。 手続き方法は、総務省や在外公館のホームページで詳しく紹介されています。

総務省 https://www.soumu.go.jp/senkyo/hoho.html

外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/sen…

日本に住むみなさんも、投票日当日に行けない場合は、期日前投票や不在者投票もありますので、どうぞあきらめないでくださいね。 私たちに与えられた一票を投じる権利、無駄にしないで、ご家族やお友だちを誘って投票に行きましょう!「今」と「未来」の私たちと社会のために。

総務省 『なるほど!選挙』 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo…

「ときどき」ということで、配信は不定期ですが、これからいろいろ魅力的な方々のお話をお届けしたいと思います。

#日本は原発をやめられないのか -ドイツの取り組みと現状から学ぶ-

日本はなぜ原発をやめられないのか

福島第一原子力発電所の事故から10周年を迎える今年、これまでに個人的にも度々、勉強の機会をいただいている西村さんに、単独で講演していただいた。西村さんはいつものようの穏やかな口調で、ドイツはなぜ脱原発の道を選んだのか、その背景を詳しく語ってくださった。

 

地球温暖化 

世界の気温が100年あたり0.73度上昇している。日本では1.24度、1.3度上がると東京都の気候が宮崎県ほどの気候の様になるという。このままでは今までのような生活ができなくなる。ほぼ確実に言えることは、二酸化炭素の排出と気温の上昇は密接に関係しており、人間の出す温室効果ガスが世界の気温の上昇に強い影響を与えているということだ。またコロナによる経済活動の停滞での温室効果ガスの排出量の急減は、一時的なものに過ぎないだろう。IPCCIntergovernmental Panel on Climate Change/気候変動に関する政府間パネル)の研究によると、気候変動の経済的な被害も甚大なものとなるとの予測がされている。例えば日本の気温が今後100年間でさらに3度上昇すると、世界の5分の1に当たるGDPの21%が失われることになる。今後、災害被害はますます大きくなる。

冒頭に紹介されたシロクマとヒグマ

この100年で北極の氷は40%ほど減少しており、居住環境を失ったシロクマたちは食べ物を求めて南下し、一方アラスカのヒグマは北上、ヒグマとシロクマの間に子どもができるという、自然界の生態系にも、これまでになかった異常事態が起きている。

写真左:暖房のないドイツのホテル (ドイツのエコ建築については、文末にある過去のブログもぜひ参照してください)

ドイツの取り組み

冬でも暖房なしで快適性を保てるエコ建築への推進。ハロゲンランプをLEDに変え、熱エネルギーの消費量を5分の1へ。クリーンエネルギーへの転換。ドイツでは消費電力のおよそ50%以上が再生可能エネルギーに転換された。しかし熱と交通分野の再生可能エネルギーの目標が停滞している。

エネルギーの消費量を抑えたライフスタイル。大量生産・大量消費のグローバル経済とはなじまないことから、社会そのものの仕組みを変えていく。同じ量の原料でより多くの製品を作る大量生産の仕組みから、より少ない資源で適切に製品をつくるビジネスへの転換。

こうして先進的な循環型社会に即したサーキュラー・エコノミーCircular Economy/循環型経済)は、これまで主流であったリサイクルのみならず、ものづくりの段階で材料から考えていく。

西村さんがドイツのエネルギー転換で非常に優れているなと思うのは、地域の経済価値循環を維持するための取り組みが非常に進んでいること。経済価値循環というのは、基本的には、地域のお金を地域の外へ出さず、地域で循環させるということ。

日本では?安定供給⇒化石燃料と原発のベースロード、 経済効率性⇒コスパ 、環境適合性⇒科学的安全性、再エネの無謀な開発 、安全性⇒再エネの無謀な開発、原発を運転する企業の適格性…

世界のエネルギーの4Dとは、脱炭素化、分散化、デジタル化、自由化。ここにドイツでは民主化が加わり、日本では少子高齢化が加わることもある。蓄電の限界があることからも電力の3E+S(安定供給、経済効率性、環境適合性、安全性)が重要になるが、日本ではすべての項目において、SDGsやサーキュラー・エコノミーとの間にずれが生じ(写真)、世界の潮流に乗れていないという。

ドイツでは、再生可能エネルギーの発電所を一般市民である個人や農家が所有していることが多い。誰かが投資して与えてくれるものではなく、自分たちで投資して自分たちで地元に立ち上げていくものであるという意識も定着していると言える。日本にも市民が出資して再エネ発電所を建設する、日本のNPOのひとつ北海道グリーンファンドの“はまかぜ”をはじめとする各地域の取り組みがある。

基本的には再エネの推進、取り組むほどに地域が潤う。

こうした取り組みに熱心で、最も進んでいる自治体にドイツのライン=フンスリュック郡が挙げられる。この自治体では、ドイツの中でもとりわけ地域の経済価値循環に成功している。ライン=フンスリュック郡の借金は、市民一人当たり594ユーロ。同規模の自治体では平均2780ユーロ、ドイツ全体の自治体の平均が3519ユーロであることからも、非常に健全な運営がされていることがわかる。この地域では、これまでに年間約350億円、市民一人当たり34万円がエネルギーを輸入するために地域外に流出しており、2050年までに年間300億円を地域にとどめることが目標としてきた。地域にとどまったお金によって商店街の活性化や、自治体の建造物の省エネ改修、図書館の新設、幼稚園の完全無料化などを実現し、地元の価値はますます高まっている。

省エネ 

蛍光灯などをLEDに交換するだけで、一年間に一世帯1万円の電気代の節約にもつながるという。冷蔵庫を最新の冷蔵庫に買い替えると、10年前の冷蔵庫と比較して2倍、20年前のものでは3倍も電気代が異なる。こちらも年間1万円以上の電気代の節約となり、化石燃料の使用を減らすことができる。

小さな村の小高い丘には風車が立ち並ぶ。

ドイツの人口2500人規模のヴィルトポルツリート村では、地域の住民が出資して風車を建設、電力需要のおよそ7倍を発電し、出資者が8%の配当金を得るまでになった。気候変動に貢献するのみならず、再エネに取り組むとお金が入ってくることを実感した地元住民の92%が、小さな村に立ち並ぶ風車に賛成している。さらには余った電力を利用し、2011年に蓄電池の会社Sonnenを設立。わずか10年で、ドイツで最も蓄電池を売り上げる企業に成長し、2018年には石油会社Shellに買収され、人口2500人の村に再エネが数百億円をもたらした。

 

再エネにおける課題

再エネのコストは高いという印象があるが、ドイツではすでに再エネは化石燃料よりも低コストになっている。LEDや省エネ型の新しい冷蔵庫への買い替えも進み、ドイツでは個人の電気使用量はずっと下がっているため、電気代の単価が上がっても、全体的な家庭での支出は下がっていると言える。

発電業界では、大規模集中型から小規模分散型への転換が進み、電気の安定供給への対策としてVPP(Virtual Power Plant/仮想発電所)が主流に。ネットワーク化された巨大なエネルギーマネジメントシステムは、大規模電源よりも優れた安定供給を実現する。日本とドイツでは、電気系統が異なるが、必ずしもドイツのシステムが応用できないわけではないという。

このほか電気が足りないわずかな時間を補うために、蓄電池や水素をあてがい、地域で発電したものを地域で循環させることを目指す。結果として、先に挙げた自治体などのように、使ったお金は地元にとどまり、地域の経済価値が高まる。

ドイツでは、これまでの経験から大規模電源は扱いづらいということがわかってきた。従来の大規模電源である原発と小規模分散型の電源の共存は、経済効率の観点から持続不可能であり、システムの安定性を確保するためには、いずれどちらかの選択を迫られる。エネルギーの効率化を鑑みて、ドイツは国産で経済価値が循環する小規模循環型の再エネを選んだ。

エネルギー転換を目指すことによって、再エネは、地域にお金を残し、残ったお金は市民に健全かつ文化的に役立てられ、誰もが平等である社会に貢献される。このようにドイツでは、原発ではなし得なかったことが起きているという。

ドイツは総エネ60%の再エネ化を目指す

再エネの発電率を比較すると、それでもドイツはEUのなかで遅れを取り、足を引っ張っている。

今後ドイツでは、間近に迫る2022年の脱原発、2038年の化石燃料からの脱退が計画されており、2050年をめどに電力供給の80%、交通や熱を含めた総エネルギー供給の60%の再エネ化を目指すことになっている。

 

Q: 地域にお金を落とす再エネというのが日本の人々の意識に定着しないのはなぜ?

A: 専門的な話になると税制の違いなどもあるが、ざっくり言えば、日本では、誰かに任せておけば物事が解決するとの考え方が多い。ドイツでは、地方への交付金が非常に少なく、自治体は自分でお金を稼がないと地元を維持することができないため、地域が自主的に取り組んでいる。日本の場合は、稼ぎが増えると地方交付税・交付金が削減される。地方の努力が地方の豊かさに直結しない、中央集権型のシステムが国家レベルの問題としてある。もうひとつに学校など教育の場で、エネルギーについて話す機会が非常に少ないことも一因なのではないか。

(質疑応答の一部より)

参加者からのこのほかの質疑にも、丁寧にお答えしていただいていますので、以下のリンク先より、西村さんの講演の動画をぜひご覧ください。

日本のNPO団体アースウォーカーズによるプロジェクトで、ドイツの再エネを学びに渡独した福島県内の高校生を対象に、西村さんが開催された講演のブログも合わせてご一読ください。ドイツの省エネ建築と日本との制度の違いについても触れています。

ドイツの再生可能エネルギーに学ぶ福島の高校生 2019 http://snbblog.sundayresearch.eu/?p=4222
講演者:西村健佑氏

ベルリン自由大学・環境政策研究所環境学修士、エネルギー市場・政策エキスパート、ベルリンでエネルギー市場調査に関するコンサルタント会社Umwerlin (https://note.com/umwerlin) を経営。欧州のエネルギー・産業政策の調査、通訳、翻訳、また日独中小企業のビジネスコンサルも手がける。クラブヴォーバンメンバー。共著に『海外キャリアのつくり方 〜 ドイツ・エネルギーから社会を変える仕事とは? 〜 』『進化するエネルギービジネス(ポストFIT時代のドイツ)』

 

IPPNWドイツ支部「東京2020ー放射能オリンピック」キャンペーンの報告

2020年夏に開催予定の東京オリンピックはコロナパンデミックにより1年延期され、それで去年IPPNWドイツ支部(核戦争防止国際医師会議)と、ドイツ最大の反原発団体である.ausgestrahltと、私たちSayonara Nukes Berlin(以後SNB)とで共同で行う予定だったアクションが一年延びて、日本が聖火リレースタートを去年と同じ3月25日に予定しているため、23日に記者会見、24日に署名運動で集めた署名リストを日本大使館に届けるというアクションを行った。

日本でも時を同じく東京や福島で反対行動やデモが行われたが、ドイツからもオリンピックの祭りをフクシマがあたかも収束し原発事故が克服されたかのような演出をする舞台に悪用しないことに対する抗議をする人たちがいることを伝えるのは大切だったと思うし、そのためにSNBのような日本人のグループも一緒にいることが必要だと考えて私を記者会見に誘ってくれたことに感謝したい。

IPPNWドイツ支部と.ausgestrahltが書いたNo radioactive Olympicsの声明自体は、詳しく言えば私には賛成しかねる部分もあったが、フクシマの人たちを本当に支え助けるためにお金やエネルギーを使わず、演出と宣伝ばかりにお金を使って、福島第一から20キロほどしか離れていない、東電の作ったJヴィレッジから聖火リレーをスタートさせ、人もまだほとんど戻っていない双葉の駅をピカピカに作って開通し、それであたかも元通りに戻ったかのように見せるために聖火リレーのコースを通過させること、それはそこを通る選手にとって放射線が高いから問題だというよりは、そこに「大丈夫だから住みなさい」と帰還政策で戻され、もとより20倍以上の年間線量を許容するよう強要されている人たちを思えばこそ許すことができないということでは気持ちは同じだと、何度もIPPNWドイツ支部の代表であるAlex Rosenの話を聞きながら確認することができたので、私は彼らとこのアクションを行うことができたのは良かったと思う。

記者会見でSNBを代表したステートメントでは、私は、ほぼおしどりマコさんケンさんが1月末の講演会で話してくれたデータを使った。

ここでは特に日本人を代表し、日本の政策批判と、オリンピック決定の背景について話してほしいと言われていたのだ。私がステートメントを読み上げた後、グリーンピースがJヴィレッジや福島での聖火リレーコースで線量測定を行い、いくつものホットスポットが見つかった数分の画像を流した。


菊のご紋を背景に(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

 

 

 

 

 

 

Sayonara Nukes Berlinを代表してのゆうのメッセージ

『すべては嘘から始まりました。2013年9月、当時の安倍首相はオリンピック招致の舞台で世界に向けてこう宣言しました。「福島はアンダーコントロールです。汚染水はブロックされています」と。 しかし当時も今も「アンダーコントロール」からは程遠い状態なのが真実です。安倍首相が2020年のオリンピック招致で演説した2013年は、地下貯水槽で漏えいが見つかり、護岸エリアで地下水の汚染が発見され、高濃度汚染水を貯留していたタンク群から大量の汚染水が漏えいしました。この2013年8月19日のタンクからの汚染水漏えいはINES(原子力事象評価尺度)で2011年のフクシマ原発事故とは別のレベル3の事故して認定されました。そのなんと十日後、2013年9月に東京オリンピックが決定しました。フクシマはアンダーコントロールだから、というわけです。 しかし東電が2021年1月に出したデータから見ると、原発事故から十年経った福島第一は今も12000ベクレルの放射性物質を大気に放出しています。この放出量は、同等の稼働中の原発の大気への放射性物質放出量と比較すると、通常に稼働している原発が一年に大気へ放出する量の40倍を、福島第一はたったの1時間に放出している計算になります。 安倍元首相とその政府はしかし、福島原発事故はもう過去のことなのだという印象を世界にアッピールするため、是が非でも東京オリンピックを悪用したいと考えました。彼らはそれで「復興オリンピック」と謳っていますが、果たして誰のための「復興」だというのでしょうか? Jヴィレッジはもともと1997年に東電が原子力発電所立地地域の地域振興事業の一つとして出資して建設してから福島県に寄付したスポーツトレーニングセンターです。フクシマ事故後は事故現場の対応拠点となり福島第一で働く人たちが寝泊まりもしていました。事故を起こした原発からは20キロしか離れていません。日本政府がほかでもないここからオリンピックの聖火リレーをスタートさせたいと言っているのは偶然ではありません。彼らはそれにより世界に示したいのです。「ほら、みてごらん、原発事故はもう克服できた! 大したことないのがわかるだろう!」と。 しかし、2011年3月に発令された原子力緊急事態宣言は、今でも発令されたままです。事故を起こした原発の周辺には、2011年3月以来避難命令が解除されていない町や村がいくつもあります。この原子力緊急事態宣言が発令されて以来、日本政府は、事故以前の許容線量を20倍に引き上げて、線量が高い場所にも戻って住むように人々に強要しています。これが彼らの言う「帰還政策」です。避難命令が解除され帰還を促された村や町でも線量が高いのはそのためです。そして避難命令が解除されると、放射線が高いのを恐れたり、昔とはインフラ設備が同じではないから、または以前の仕事に従事することができないからなどの理由で帰還しない場合にも、賠償金の支払いや住宅支援は中止されてしまいます。これまでに、事故前に住んでいた人たちの約1割、それもほとんどお年寄りの方たちしか解除された地区に帰還していません。 いわゆる除染作業というのは、そのほとんどが畑や住宅地域の汚染された土を剥ぎ取り、それをフレコンバッグに詰め込み何列にも並べて積み重ねる、ということだけを意味しています。フクシマにあるたくさんの山々や森は除染などできません。風が吹けば、雨が降れば、台風が来れば、放射性物質はまた除染した場所に戻ってきます。 それでも国や官庁は原発事故の危険性や影響をなるべく見えないようにしたいと、線量測定モニターを外したり、未成年対象の健康調査の規模を小さくしたり、または約1400万立方メートルほどの汚染土をリサイクルしようとしたりしています。彼らはあらゆる方法で、原発事故のマイナスの影響が皆の目に明らかにならないようにしているのです。そのためにはオリンピックは、それをメディア効果よく演出するために適した舞台というわけです。日本政府は原発事故の犠牲者を精神的に、医学的にそして財政的に支援する代わりに、おとぎ話を伝える方によりたくさんの支出をしています。しかし、今はそんな幻想をばらまいている時ではありません。』

Alex Rosen(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

IPPNWドイツ支部を代表してAlex Rosenは以下のような話をした。

『オリンピックが行われれば、世界が日本を注目することになる。その時に、日本は実際に国の中で起きていることを「なかったことにする」「ない振りをする」そして政治的に悪用し、復興という名を与えて違うイメージを与えようとしてはいけない。先ほどのグリーンピースの動画でも見えたように、ホットスポット、高い線量のある場所がいくつもある場所に選手が数時間競技を行うことで健康に被害がある、と私たちは言っているのではない。福島で聖火リレーを行い、また福島県の各地で競技を行うことは日本政府が意図して選んだ象徴的な選択である。東京オリンピックでありながらわざわざ福島でも競技を行うことで、日本政府はフクシマの事故の影響をなかったことに、あたかもかつての日常が戻ってきてるかのような幻想を世界に与えようとしている。私たちはオリンピックそれ自体を批判しているわけではない。しかしフクシマの現実から目を閉じること、ましてはそれ以上に違ったイメージを与えようとすることにオリンピックを悪用しようとしていることに私たちは抗議するものである。』 あとは彼がデモでも話したような、健康調査をしっかり行わなかったことの批判、それでもはっきりと被ばくが原因としか考えられない、ことに甲状腺がんを始めとする例が出ていることを語った。

.ausgestrahltの代表Jochen Stayはハンブルクに住むため、かざぐるまデモには今回演説を予定しながら参加することができなかった人物だ。.ausgestrahltはドイツで最大規模の反原発団体だが、こことはかつて映画「Furusato」のことでいやな経験をしたことがあり、私は彼らの運動の方法を必ずしもいいとは思っていないのだが、Jochenはここでドイツの原子力政策(例えばお馴染みの、脱原発を決定して来年で原子炉自体は停止するかもしれないが燃料棒製造もウラン濃縮も続けて、それをヨーロッパ各国に売っているとか)についての批判などを加えていた。

次の日、24日にこの署名運動はとうとう1万人以上の署名を集めることができたので、それをプリントアウトして日本大使館に届けるときにちょっとしたアクションを計画した。

(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

日本大使館は当然ながら署名を受け取るために大使館職員を出迎えに出すということはないが受付に渡すのならいい、ということで、代表してAlexRosenが重いファイルを届けたが、その前に私たちはティアガーテン側で横断幕やIPPNWが用意した聖火トーチ(炎に放射能マークがついている)などをもって写真撮影するアクションをする届け出をしてあり、そこに20人くらいで集まった。その後でIPPNWはメディアも招いてブランデンブルク門前でもっと演出した写真撮影を行うということで私ももともとは動員されていたのだが、人数は足りているから必要ない、ということになって大使館前で私は別れて自宅に帰ることができた。コロナでなかなか人と会うことがままならない今、デモの時以来初めてまた人とこうして「生」で会うことができるのはかなり新鮮な感じがし、春の気配が濃厚なティアガーテンを友と一緒に気持ちよく散歩することができたので、このアクションは今年のフクシマ関連最後のアクションとなるかもしれないが、なかなか気持ちのいいものになったことを喜びたい。

ブランデンブルク門前で(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

私は十周年のアクション、イベントを終えたら少し第一線から下がりたい、と話していたし、やはり今年もマコさんケンさんの講演会からデモ、その他の講演会の主催やステートメント発表、イベント出演、アクションなどでかなり消耗してしまった。これでやっと責任を果たし肩の荷が下りたとほっとすると同時に、これからの私の運動、社会参加のあり方について考えていかなければならないことを実感する。マコさんには講演会で「2021年の3月12日から本気を出さないと」と言われてしまっている。私にとってもこの十年はいろいろな意味でたくさんを学んだ十年だった。私にとってこのフクシマをきっかけに考えたこと、学んだことは、きっとこれからもどうでもよくはならないはずで、どういう形で私があまり息を切らずに社会参画していけるか、どういう方法なら私はいいと思えるのか、ということを自問していかなければならないだろう。フクシマ事故に凝縮された問題は非常に複雑で、国家がその市民を守ろうとしないばかりか、その市民を裏切り、見棄て、洗脳しようとさえするものであることを明らかにした。日本にも世界にも憂うべきことが山ほどあるこの現在の中にあって私という人間はどう生きていくのか、どう生きていきたいのか、なにをする責任があるのかという問いかけはこれからもずっと続いていくだろう。

(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

それは、私になにか動かしたり変えたりすることができる、というような幻想があるからではなく、今生きている人間としてなにかをせざるを得ない、何もしないわけにはいかないという存在のあり方、姿勢として、考えないわけにはいかないからだ。私が頻繁にSNBを代表して発言してきたため、また私が言い出したことで皆にも用事を増やし、強引な部分もあったかもしれないが、暖かく受け止め、協力してくれたSNBの仲間全員に心からお礼を言いたい。そしてこれからも私たち一人一人ができることを積み重ねていきたいと思う。(ゆう)

 

フクシマ10周年、かざぐるまデモ2021の報告

十周年のために制作した大型かざぐるま(©Uwe Hiksch)

去年はぎりぎりセーフでロックダウン前にデモが実行できたが、今年はまだロックダウン真っ最中。それもあって予定していた演説者が二人来れなくなったり、参加者も少ないことが予想されていたが、十周年のフクシマ・デモをやらないわけにはいかないとトラックの舞台も準備してブランデンブルク門でかざぐるまデモを行った。共催団体はいつもの通りNaturFreundeAntiAtom BerlinGreenpeace Energyだ。今年は動員数も少ないと思われたため、配布するかざぐるまもずっと少なくし、その代わり10周年として大きなかざぐるまを作ってみたのが、なかなか目立ってよかった。赤と黄色が灰色のベルリンの町でも目立っていたようだ。

今年の横断幕(©Sayonara Nukes Berlin)

当日は寒いながらも天気も晴れの予報で、朝起きた時には本当に青空だったので、よかったと思っていたのに、実際にブランデンブルク門前のパリ広場に集まった時は空がかき曇って雪が舞い始め、恨めしそうに空を仰いだ。でもありがたいことに、デモを開始する時間にはそれもやんで、それからは雪も雨も降らないでもってくれた。

東日本大震災から十年。あの日、コンピューターで見る東日本の津波の映像に釘付けになりながら、福島の原発が全電源を喪失し、原子力緊急事態が発令されたのを知った。それから心配で不安で何も手につかずに過ごした数日のことを思い出さずにはいられない。あれからもう十年も経ってしまったのか、という気持ちと、いや十年など放射性物質にとってはわずかな時間なのだという思いが一緒に広がっている。まして十年経っても元の生活を取り返すことのできない人たちにとっては、その思いはどれだけのものだろうか。

ブランデンブルク門前に立った柱の先端で 回るかざぐるま(©Sayonara Nukes Berlin)

舞踏家の古谷充康(ふるたに・みちやす)氏が今年はパフォーマンスを引き受けてくれた。これまでのように、デモ開始の合図として、アイキャッチャーとしてのダンスや音楽を期待していた人たちには「まだデモの準備をしているの?」と思われるように、静かなスローモーションのパフォーマンスだった。彼は木材と工具を用意し、高い柱を組み立ててその先にかざぐるまを結び付け、それを立てる、というパフォーマンスをしたのだった。何の音楽もない「無言」のその動きをじっと見ている、またはその意味を考える、悟ることができずに、お喋りし出してしまう人、その周りを横切る人、イライラして「いつパフォーマンスは始まるのか?」と私に聞く人、など様々だった。でもそのパフォーマンスを見ながら、誰にも聞かれも頼まれもしないのに手助けをする人が何人か出始め、しかも最後に柱を立てるときは一人では立ち上げることができない、何人もの力を合わせて初めてそれが可能になるということを一緒に体験し、その柱がブランデンブルク門の前で厳かに立ってそのてっぺんで私たちの平和なエネルギーのシンボルであるかざぐるまがくるくると回った時は確かに圧巻だった。

あのパフォーマンスは、エネルギーシフトを成功させるにはそうした人々の積極的な協力、共同作業があって初めて可能になる、ということを言葉を使わずに表現したものだったのかもしれない。思えば無言というのは難しいことで、無言に耐えることは、ことに「なにかを見たい、聞きたいと期待されている場面」ではなかなか理解されない。特にデモのようにこうしてたくさん人が集まっているところでは、無言は「空っぽ、なにも起きていない」ということと解釈されてしまうことが多く、刺激を求める人たち、「なにか見えるもの、聞こえるもの」を求める人たちには興味を持たれない、無視されてしまいがちだが、無言というのは本来力強いメッセージでもある。しかし、同時にそれは受け取る側にその用意ができていないと難しく、無言を受け止めることをああいうデモで求めるのは難しかったのかもしれない。しかし無言の古谷さんのパフォーマンスのメッセージを受け止めた人も中にはいたようだ。一人一人に考えさせるパフォーマンスを用意して実現してくれた古谷さんにここでもう一度感謝したい。

今年のかざぐるまには、ロンドンの在外邦人で立ち上げた反原発団体Japanese Against Nuclear UK(JAN UK)で活躍されているデザイナーの方から中央に添えるイラストを提供していただいた。(©Uwe Hiksch)
ゆうの演説(©Sayonara Nukes Berlin)

演説はかざぐるまデモの「伝統」に則り、SNBの演説から始まった。私はあの事故から10年ということで、自分なりのこの10年、この事故を他人ごと、遠い話とは思えずにずっとかかわらざるを得なかった自分のこれまでの運動を通じた思いを総括する気持ちを籠めた話をした。SNBの皆もそれぞれ自分なりの思い、感情があると思うが、私にとってはこの「フクシマ」という名で括っている悲劇の中に潜むそれぞれの「あの事故さえなければ」という体験、人生計画や喜び、幸せを奪われたり台無しにされたりした人たちの一人一人の運命、10年経っても変わらない不安や恐れを思わずにはいられず、同時に、それなのにきちんと自分たちの政策や決定の過ちを認めず、責任を一切取らず、その上事故が起きても市民を守らず、助けず、支えないばかりか見棄て、「なかったことにしよう」とするためのプロパガンダの方には費用を惜しまない国と東電に対する怒りをどうしても訴えずにはいられなかった。

かざぐるまデモ2021_Sayonara Nukes Berlin_梶川ゆう演説_和訳(オリジナルはドイツ語:KazagurumaDemo2021_YuKajikawa_Original_de)

IPPNWドイツ支部代表Alex Rosen(©Uwe Hiksch)

IPPNWのAlex Rosenは毎度のことながら原稿を読むのでなしにフリーにそれでいてあれだけ説得力ある力強い演説ができるのに感心してしまう。反原発運動の中心となるアクティビストたちはドイツでも高齢化が進む中、IPPNWドイツ支部の代表である彼はまだ小さい子供のいる40代くらいのエネルギッシュな若手で、彼のような人がIPPNWを代表してフクシマのテーマを扱ってくれるのはとても頼もしい。デモの1週間前に行われたIPPNWドイツの「フクシマから10年」のシンポジウムでも原発事故後の健康への影響や健康調査の結果をよくあれだけしっかり扱ってくれたと思う。Alexは演説ではまず原子力発電というのは決して制御できないものであり、社会にとって決して容認することのできないリスクであるということを伝えるとともに、ドイツで原発をすべて停止するとしながら、Gronauでまだウラン濃縮を行ったり、Lingenで燃料棒を製造して、ベルギーやフランスの原発にそれらを売り、これらの原発の稼働年数を延長することをとどのつまり認めているということは許せない、と訴えた。そしていくつかの原子力産業や軍事産業が民間のインフラストラクチャーと税金を使って原子力潜水艦や長距離ミサイルを配備できるようにするために原子力は利用されているのだとも語った。彼は「自分は子どもの父親として」「一市民として」そして「小児科医として」憂慮していることをそれぞれ伝えたが、それが心に響いた。彼は、フクシマで最初からしっかり健康調査していればいろいろなことが判明し、防ぎ、救えたかもしれないことが敢えて隠され、した方がいい調査をしないで済まされ、この大事な十年をある意味でずいぶん棒に振ってきてしまったことを日本政府に対して非難していた。また、妊婦や子供であっても事故前より20倍の線量で生活することを余儀なくされているフクシマで、これから何十年とかけて出てくるだろうあらゆる健康に対する影響に対して、彼らを保護せずに放っておく政策に対しても批判していた。

今年のモットーの横断幕(©Uwe Hiksch)

今年のデモは一年経ってもまだ終わりの見えないコロナ禍ロックダウンの続く中行われ、演説のため遠くから来る予定だった二人がベルリン訪問をあきらめたこともあり、あまり動員数が期待できない状況ではあったものの、十周年という区切りのデモはそれでもやろうという共催団体との気持ちは固く実行に臨んだ。配布するかざぐるまの数もそれで思い切り少なくしたが、およそ250人が集まり、雰囲気はとてもよかった。新型コロナの規制の影響により、Greenpeaceのドラム隊は今年は来られなかったがドラムを持ってきてくれた人もいたし、Friday for

自作の自転車に積んだスピーカーから100%のエコエネルギーで音楽を流す(©Sayonara Nukes Berlin)

futureでいつも音楽を流しているという、自転車にスピーカーを載せて反原発や環境問題をテーマにしたラップを流す人も来て雰囲気を出してくれた。しかもNaturFreundeのUweまでがシュプレヒコールの余興をしたりして、気持ちよくUnter den Lindenを練り歩くことができた。私はロッコとデモの先頭に立って今年のデモのモットーを掲げた横断幕を持って歩いた。今年、十周年のためにつくった大型かざぐるまも大きさも色も灰色の町の中で目立ち、風にくるくると回っていたのが嬉しかった。

デモ隊はUnter den LindenからGendarmenmarktの方に折れ、Französische Straßeの地下鉄の入り口の横を通ってまたUnter den Lindenに戻りブランデンブルク門前に帰った。観光客の少ないコロナ禍だが、それでも通り過ぎる人たちは皆携帯を向けて写真を撮ったり、楽しそうに見物していた。時々風が強くて、横断幕をピンと張ってしっかり持っているのが大変だった。

Unter den Lindenを歩く(©Uwe Hiksch)

パリ広場のトラック舞台のところに戻ってみると、古谷さんはかざぐるまが先端についてくるくる回っている長い棒を持ったまま立っていた。そしてその棒をまた数人の助っ人に助けられながらゆっくり倒して石畳の上に置き、黙々と解体を始めていった。

多和田葉子氏(©Sayonara Nukes Berlin)

ここでの演説の始めはSNBが今年招待した作家の多和田葉子氏だった。彼女は自分がフクシマ事故後に書いたという詩というのかエッセイを使って今回の十周年フクシマ記念デモのために書いてくれた文章を読み上げてくれた。運動家の演説とは違って、誰か(国や東電その他)を批判したり、データを挙げたりあってはならない事態を憂いたりする文章とは違って、彼女が感じている放射能や原発に対する恐怖、不安を、彼女ならではの感性で綴った文章で、とても印象的だった。「記憶の半減期はどれくらい長いのか」という表現はことに心に残った。彼女にその文章をぜひブログで紹介したいのでテキストが欲しい、それを日本語でも載せたいが、と申し出たところ、承諾してくれた上、翻訳は私に頼みたい、と言ってくださった。私はでは、翻訳したら彼女にそれを見せるからチェックして必要なところを訂正してほしい、と言い、私が彼女のテキストを翻訳させてもらった。私にとってもこういう文章の翻訳は願ってもない仕事で、任せてもらったことを感謝している。

かざぐるまデモ2021_多和田葉子演説_和訳(オリジナルはドイツ語:KazagurumaDemo2021_YokoTawada_Original_de

(©Sayonara Nukes Berlin)

いつもならGreenpeace EnergyのChristoph Raschがヨーロッパでの原発問題をテーマに話すところだが、去年の夏から彼はベルリンからGreenpeace Energy本部のあるハンブルクに移ってしまい、コロナ禍でベルリンに来るのを諦めたため、その代わりにめずらしく司会のUwe Hiksch(NaturFreunde)が最後に話をした。彼は現在新建設や拡張が予定されているEU内の原発計画に言及した。ポーランド、チェコ、スロバキア、スロベニア、ハンガリー、リトアニア、ルーマニア、ブルガリアやフィンランド、それからEUを離れたイギリスだ。また、ついこの間原発運転年数を40年から最大50年までを許可することにしたフランスの政策(フランスの原発はもうそのほとんどが古く、40年を超えているのに稼働しているものもある)についても批判した。さらにUweは現在アフリカの16か国が原発を建設して原子力エネルギーを始めようとしていることに対する危機感を表明した。政治は原子力エネルギーを「クリーンなエネルギー」「二酸化炭素を出さないのでエネルギーシフトには欠かせない電源」という風に宣伝することによって、風力発電や太陽光発電を増やしていくのを妨げているのだと。そしてドイツはまずEURATOM欧州原子力共同体を脱退して、原子力エネルギーと核兵器の開発管理にこれ以上手を貸してはならないと求めた。気候変動を救う、という謳い文句で原子力エネルギーを再興しようという動きが世界で広まっていることにはっきりとノーを叩きつけるUweの迫力ある演説だった。

(©Midori Naganuma)

2013年にSNBがデモを始めてから、8年。NaturFreundeとAntiAtom Berlinと一緒にデモを始めてから7年。彼らともこのデモの運営に関しては気心の知れる仲となって、信頼感が育ったのを今年は強く感じた。ドイツの反原発運動の人たちにとっては、フクシマの事故はまさに「警告」であったわけで、だからこそ追悼というよりは今起きていること、これから起きる可能性のある危険について人々に訴えるためにデモをするのだが、フクシマを機に集うデモだからこそ、私たち日本人のグループと一緒にデモをやることがいいと思ってくれているのでもあるし、それでこのように単に日本人による追悼だけでなくドイツ、ヨーロッパとどのつまりは世界の問題について議論し合う場、これからも反核・反原発運動を続けていくしかないと確認しあう場となるのはいいと思う。このデモでフクシマのことを中心に据えて追悼しないことについて日本の人たちの中には「不本意だ」と思う向きもあるかもしれないが、私はドイツでデモをやる以上、それは当然だと思う。そしてこのような事故が本当に二度とどこでも起きてはならないのだ、これを戒めとして原発はやめなければいけないのだということを言い続ける責任があると思う。だって、こんな恐ろしいことを続けていけば、またどこかで必ず事故が起こるに決まっている。そして事故が起こらないまでも放射性廃棄物はどんどん溜まっていくばかりだ。

(©Midori Naganuma)

そして十年が過ぎてもその前の平穏な日常生活に戻ることのできないたくさんの福島近郊の人たちのことを思うと、私たちはそれを忘れてはいけない義務があると思う。忘れさせよう、風化させよう、見えなくしてしまおうという政府のやり方がこれほどひどいのが分かっていれば、なおさらだ。しつこく、従順にならないでいつまでも言い続けよう。ノーモア・フクシマと。(ゆう)


日本語報道:
(リンク先の記事が読めなくなることがあります)
ドイツで原発廃止訴えるデモ福島第一原発事故から10年を前にベルリンかざぐるまデモ | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/…/20210307/k10012901971000.html
ドイツ ベルリン で日本人ら反原発デモ 作家の多和田葉子さん「即時停止を」(共同通信)
#Yahooニュース
ベルリンで反原発デモ ノーベル賞候補作家・多和田葉子 さんが訴えたことは?:東京新聞 TOKYO Web https://www.tokyo-np.co.jp/article/90111
福島原発事故 からまもなく10年 ドイツ ベルリンで脱原発デモ|TBS NEWS https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4215899.html
ドイツ語報道:
Zehn Jahre nach Reaktorunglück in Fukushima Atomkraftgegner demonstrieren vor dem Brandenburger Tor: https://www.rbb24.de/politik/beitrag/2021/03/atomkraftgegner-demonstration-berlin-10-jahre-fukushima.html
Atomkraftgegner demonstrieren zehn Jahre nach Fukushima:
Protest am Brandenburger Tor: Erinnerung an Fukushima:

Fukushima: “Von Normalität kann keine Rede sein” https://www.dgs.de/news/en-detail/120321-fukushima-von-normalitaet-kann-keine-rede-sein/


かざぐるまデモライブ動画アーカイブ:

https://fb.watch/4xGuss6e4r/

https://fb.watch/4xGwdhlScM/

https://fb.watch/4xGxE_fiC9/

https://fb.watch/4xGq2B6wSs/

 

私たちにできる10のこと

Sayonara Nukes Berlinは、2013年以来「かざぐるまデモ」を毎年3月に行い、ベルリンから脱原発を訴えている。メンバーのひとりひとりは、前回の投稿で紹介したように、ごく普通の生活者だ。原発なしのエネルギーへの転換は、国の政策や企業の方針に左右されるが、生活者である私たちひとりひとりの声や行動がうねりとなったとき、政府や企業の方向性に影響を与えることができると思う。あらゆる分野において、市民の訴えに応える形で法律や制度が作られ社会が少しずつ変わってきた歴史を見れば、よりよい社会を形成していくために市民運動はとても大切な役割を持っていることがわかる。問題の多くは、突き詰めれば「いのち」「人権」という大きなテーマに行きつく。それがないがしろにされているとき、市民がアクションを起こすことはとても重要なことだ。

「運動する」ことは、特別のことではなく、私たちの生活の一部になるべきだろう。SNSの発達により、いろいろな形態で参加できるようになった。そして、運動に参加することによって、生きていくうえで何を大切にすべきかということを自らもっと考えるようになるし、私たちの考え方や生活のしかたも変革していく。さらに言えば、自らの選択によって生活のしかたを変えていくことも、一つの「運動」なのかもしれない。

そんなことを考えながら、原発のない未来を実現するために、私たちが具体的にどんなことができるのか、メンバーと話し合ってみた。それを「私たちにできる10のこと」としてまとめてみた。

未来のために原発とさよなら ― 私たちにできる10のこと ―

1.エネルギー問題や放射能汚染について関心を持つ
2.チェルノブイリやフクシマを忘れず、家族や友人と原発事故の教訓について会話する
3.エネルギー問題をテーマにした講演会に参加したり書籍を読んで学ぶ
4.ひとつのニュースソースを鵜呑みにしないで、自分で調べて考えてみる
5.エネルギー関係の情報をSNSで共有する
6.原発に反対するデモに参加して共に声を上げる
7.エネルギーを含めた環境問題に取り組む団体を支援する(ボランティア・寄付など)
8.電気を含むエネルギーの節約の工夫をする
9.再生可能エネルギーによる電力会社を選ぶ
10.エネルギーや環境に配慮した政策を提示している候補者に投票する

脱原発を訴えるグループとしてイベントを行うだけではなく、自分たちの日常生活ではどんなことを実践しているかメンバーに振り返ってもらった。ここで何人かのメンバーから集まった実践例を紹介する。

♦再生可能エネルギーの電力会社と契約しています。
♦感情的/扇動的/一方的な情報を見分けて精査する能力を養う努力をしています。そういった情報や精査の過程をとくに賢いわけでもない普通の市民の疑問として友人や家族の目に触れるようにしています。
♦友人と原発事故の様々な影響について直に話すようにしています。

♦再生可能エネルギーの電力を選択しています。
♦エネルギーとは何かという物理の話を議論する集まりをしていました(コロナ前)。エネルギー問題に取り組んでいる人たちでもエネルギーとは何かを知らず(例えばエネルギーの単位は何かなど)、エネルギーとは何かを説明できない場合もありました。そして原発に賛成する側でも反対する側でも間違ったことが共有されてしまったりすることがあったためです。

♦私たちの生活に密着する深刻な問題だからそれぞれの記念日はもちろん、普段からこの問題にまつわる会話を積極的にしてきた。
♦自分の余暇の範囲で、できるだけ信頼のおける専門家の話に耳を傾けるようになった。
♦政治的な発信は時に勇気のいるものだったけど、続けるうちに気づいたら思ったことを何でも言えるようになった。
♦原発に反対するデモに参加している。
♦普段からまめに電気を消して、衣類に気を付けなるべく冷暖房に頼らない工夫をしている。必要以上に家電を購入しないようになった。
♦投票は欠かしたことがないが、ただ投票へ行くだけではなく、周りの友人や家族に声をかけるようになった。
♦再生可能エネルギーによる電力の選択では、代々木公園で環境フェスティバルに参加して各社のテントでパンフレットをもらったり話を聞くなどしてより具体的な選択ができた。

♦あまりたいしたことをやってないので恥ずかしいが、しいて言えば、エネルギー問題の書籍を読んで勉強し、自分で調べて考えるようにしている。

♦わたしの個人の家の電力会社は再生エネルギーの会社にしています。
♦テレビ、ラジオの電源は切っておきます。使い終わったらコンセントから外してます。

♦確実に再生可能エネルギー100%による電力しか供給していない電力会社と契約するのはもちろんのこと、私なりのダイベストメント(投資の反対で投資から撤退すること)を実施し、原子力、化石燃料を扱う企業に出資することをはっきり拒否し、環境に優しいプロジェクトにだけ投資している銀行に口座を変えた。
♦なるべく地元で、無農薬で栽培され野菜・果物を買い、できるだけアフリカや南米から届いた野菜・果物等は買わない。
♦2番にも共通するが、外貨が儲かるからと森林を破壊し大量に水を吸い取って地下水を枯渇させていく南米のアボガド栽培で、水不足をうみ、労働者(子どもも)低賃金・悪労働条件で働かされていることから、アボガドは好きだが非買運動をして、買っていない。

♦子どもたちと原発問題について話してます(息子は興味を持って小学校で原発問題をテーマに作文執筆!)。
♦デモ用のかざぐるまづくりワークショップを小学校を借りて行った(息子のクラスメートも参加)。
♦幼稚園にデモのポスターを貼らせてもらった(保護者がかざぐるまづくりのワークショップに参加してくれたり、先生がデモに参加してくれた)。
♦語学学校のテーマで原発問題を話題にする。
♦エネルギーの節約、できるだけやってるつもりですが、電気のついてるところでまとめて作業するとか、できるだけ昼間の電力を使って調理やアイロンとかするようにしてます。

♦関連のドキュメンタリーがあったら観てみる。
♦センセーショナルなニュースであればあるほどいろんな情報を読んでみます。なるべく別の見方も知りたいので。
♦FaceBookしか使ってないですが、これは!と思ったニュースとかpetitionなどはシェアしてる。
♦毎月引き落としでWWFなどNGOに寄付してる。
♦アマゾンとかの森林を破壊したくないので、なるべく肉は食べない。食べる時はスーパーの安肉じゃなくてマルクトのブランデンブルグ周辺の畜産業者扱いの肉屋で買う。
♦野菜もなるべく遠くから来たのじゃなくて、近くの農園のをマルクトで買う。
♦最安値の会社ではなく、グリーンエネルギーの電力会社と契約してます。
♦在外投票してます。候補者の政策も比べて投票してる。
♦かざぐるまデモには友達誘って毎年参加!

福島の原発事故から10年、被災地がどう変わったかという報道はよく目にするが、私たち自身の意識や生活はどう変わったのだろう?

あなたの意識や生活にはどんな変化がありましたか?

何か新しく始めてみようと思うこと、ありますか?

 

 

SNBメンバー紹介!

原発事故後の福島の現状に心を痛めた一人が友人に声をかけ、5人が集まり、ベルリンで初めて日本人による脱原発のデモを開催してから8年。2013年、デモなど自分たちで企画したことがない素人だったが、とにかく始めてみた。そして毎年少しずつ一緒にやってくれる人が増え、今では主要メンバーは10人以上になった。

今年は原発事故から10周年ということもあり、毎年行っているかざぐるまデモのほか、二つのオンライン講演会を企画した。去年の7月から毎月Zoomでミーティングをし、アイディアを出し合い、様々なことを協議して民主的に決定し、それぞれができることを引き受けて実施した。毎年このようなプロセスを、お互いを尊重しつつ、ともに取り組むSayonara Nukes Berlin(SNB)のメンバーたちはとても多様だ。

「SNBはXXが背後にいるのでは」「危険な団体?」

というようなことがネットでどこかに書かれていたらしい:)

私たちは「子どもたちによりよい未来を残そう」という思いを共有している普通の市民ボランティアなのだけれど、そうか、どんな人間が集まってやっているのかあまり見えてこないのかも。ということで、今回はSNBのメンバーを紹介しようと思う。

RH – SNBの発起人。あらゆるジャンルの人たちとつながるネットワーキング力と、分け隔てない包容力で人の輪を広げてきた。料理上手な二児の母。

YK – プロのドイツ語翻訳者としての忙しい仕事の傍ら、原発や社会問題について、やる意義を見出せばボランティアで翻訳を引き受けるなど、こなす仕事量は半端でない。

AM – SNBのイベントのポスターやフライヤーのデザインを担当。ミーティングでは発言は控えめだが、彼女が意見を言うときは、短くピシッと的を射る。

ES – ソプラノ歌手で二児の母。会計担当。デモが近づくと、家族全員を動員し、かざぐるま製作で職人技を発揮する。作業も会計も太陽のように明朗にこなす。

IO – 育児で忙しくしているが、デモのビラ配りにかけてはSNBでピカいち。戦略的に配布場所を考えて配りまくるフットワークの持ち主。

MI – 美術家として長年ベルリンで活動。ポスターやフライヤーなど制作物のデザインについてアドバイスをくれる。温厚な人柄でSNBにとって暖炉のような存在。

SR – 子どもにかかわる仕事をする傍ら、イタリア人と3人組バンドを結成。アートの才能もあり、デモのポスターの原画描きや、ワークショップ系の企画も引き受けてくれる。

HY – ドイツ企業で活躍するプログラマー。SNBのウェブサイトなどテクニカル部門を担当。仕事の傍ら、数学を教える動画をボランティアで長年配信している。

MN – SNBのイベントのポスターやフライヤーのデザインを担当。常に冷静沈着、ボランティア活動でもプロフェッショナルさがキラリと光る。

HF – ベルリンの大学で教鞭を取っていた。東日本大震災をきっかけに立ち上げた東北を支援するNPOを運営するが、SNBでもドイツの団体との協議などを担当してくれている。

KGM – ダンサー・振付師。第一回目のデモからのメンバー。SNBのイベントでパフォーマンスを担当。ダンスを教える傍ら、自身のダンス作品でも原発や社会問題をテーマに取り組んでいる。

TK – ドイツ国内の大学で教鞭を取っていたが、定年後、執筆活動へ。長年学生と付き合ってきたせいか、メンバーのとっぴな意見も柔軟に受け止め面白がってくれる。

YM – 第一回目のデモからのメンバー。途中、国際協力の仕事でドイツを離れてブランクがあったが、再びドイツに戻りSNBの活動に復帰。英訳・書記担当。

MF – ジャーナリスト。メンバーではないが、第一回目のデモから協力してくれていて関わりは深い。ドイツの原発事情・エネルギー問題に精通。

No Nukes Usagi – SNBのマスコット。初めてデモを行った年、ベルリン在住のアーティストChuuuさんがボランティアでSNBのためにデザインしてくれた。レインボー色は、多様性を認め合う社会をイメージしている。

***

あるときミーティングで、市民グループとして脱原発を目指す活動をしているが、自分たちの実生活でもいろいろと実践することが大切だね、という話になった。そこで、みんなで『未来のために原発とさよなら ― 私たちにできる10のこと ―』と、メンバーが日頃どんなことをこころがけているかまとめてみた。それは次回のブログ記事で紹介したい。

3月20日オンライン講演 「エネルギーの未来 ‐日本は原発をやめられないのか?ドイツの取り組みと現状から学ぶ」

フクシマから十年:西村健佑氏を迎えてのオンライン講演
「エネルギーの未来 ‐日本は原発をやめられないのか?ドイツの取り組みと現状から学ぶ」
ZOOMウェビナー
3月20日(土)12時(ドイツ時間)20時(日本時間)から

※参加お申込みは、https://us02web.zoom.us/.../reg.../WN_n58JCWq-TtmCgVzQale4nAにてご登録ください。
フクシマ原発事故から今年で10年。この事故をきっかけにドイツは脱原発へ舵を切り、2022年の終わりまでにすべての原発が停止されることになっています。一方原発事故があった日本では、いまだに原子力発電を「ベースロード電源」と据え、事故後すべて停止されていた原発も何基か再稼働されています。
ドイツのエネルギー政策に関して日本では間違った情報も聞こえるほか、原発をやめてどのようにエネルギー需要を賄っていくのか、疑問に思う方も多いでしょう。 まだ石炭に依存した火力発電が多いドイツですが、それでどうカーボンニュートラルを達成できるのか、再生可能エネルギーの割合を高めていく上での今後の課題など、ドイツから学べることはたくさんあります。
これから先、負の遺産・放射性廃棄物を残すばかりの原子力エネルギーとも、二酸化炭素を排出する化石エネルギーとも別れを告げ、どのようにして持続可能な社会を子どもたちに託していくことができるかは、今、私たちに与えられている最大の課題と言えます。フクシマ原発事故から10年、単に現状批判だけでなく、どのような社会を私たちは求めていきたいのか、どういうエネルギー政策がそれを可能にするのか、2005年以来ドイツに住む環境・エネルギーエキスパート、西村健佑氏に話を聞きながら皆さんと一緒に考えたいと思います。
ZOOMウェビナー
3月20日(土)12時(ドイツ時間)20時(日本時間)から
※参加お申込みは、https://us02web.zoom.us/.../reg.../WN_n58JCWq-TtmCgVzQale4nA
にて事前にご登録ください。

講演者:西村健佑氏(ベルリン自由大学・環境政策研究所環境学修士、エネルギー市場・政策エキスパート、ベルリンでエネルギー市場調査に関するコンサルタント会社Umwerlin (https://note.com/umwerlin) を経営)
主催:Sayonara Nukes Berlin (http://sayonara-nukes-berlin.org)

 

フクシマ10周年 ベルリンかざぐるまデモ – 原子力は気候変動を救わない –

フクシマ原発事故10周年・かざぐるまデモ

  2021年3月6日(土)12時から
  ベルリン・ブランデンブルク門前(パリ広場)

10年経っても戻らぬ日常/原子力は要らない

2021年3月11日にフクシマ原発事故は10周年を迎えます。日本政府や国際原子力機関がどれだけこの大事故の影響を過小評価しようとしても、事実が物語っています:被害を受けた地域にかつての日常は戻りません。故郷に帰れない人たちが今も数多くおり、事故を起こした原発は放射性物質を環境に放出し続けています。保管する場所がなくなるという理由で、日本政府は汚染水を海に放出することすら考えています。

収束したなどと言えるどころかその反対で、いまだに危険に満ちているのがフクシマの現状です。それなのに原子力ロビーは危険で醜悪な原発ビジネスを活性化させようとし、原子力エネルギーなしでは気候中立は達成できないなどと言いふらしています。発電を原子力に頼っている国はまだ多く、原発の新設や古い原発の運転期間延長を発表している国もあります。

私たちはこうした狂気の沙汰に毅然として対抗していかざるを得ません。原子力は気候変動を解決するオプションになれないだけでなく、人類と環境にとって恐るべき脅威です。フクシマ原発事故から10年、私たちは一貫してエネルギー革命を求めていく必要があります。本当に大切なのは、100%再生可能エネルギーによる発電を可能にし、核と化石燃料から解放された経済へと向かうことです。これ以上核のゴミをつくらせてはなりません!

原子力は気候変動の解決にはなりません!

気候中立からは程遠い原子力は「核の鎖」(ウラン採掘から発電、再処理、使用済核燃料の(最終)処分場に至るまで)のプロセス全体で夥しい二酸化炭素を排出します。

汚染の恐怖原子力産業が半永久的に出し続ける危険な放射性廃棄物は人類にとっても環境にとっても大きな脅威です。

危険過ぎる原子力エネルギーはフクシマのような重大事故や、それに伴う人類と環境への長期的な影響というリスクが常につきまといながらも、それが黙認されて続けられています。また原子力技術イコール核技術で、核兵器の開発を推進します。

無謀なコスト原子力エネルギーは最もコストの高い発電方法で、国からの補助金や助成金がなければ経済的に成り立ちません。

だからこそ、これまでにも増して私たちは次のことを求めます:

  • 世界中の原発・原子力関係工場の即刻停止。ことにドイツはグローナウのウラン濃縮工場やリンゲンの核燃料製造工場の操業を停止すること
  • EURATOMおよびその他の原子力技術を促進する団体を解散すること
  • 原子力技術を促進するための補助金等を、再生可能エネルギーおよび放射性廃棄物処分・保管のための、独立した市民団体が管理する研究へ回すこと
  • ドイツと日本は「核兵器禁止条約」に署名すること
演説者:

1) Yu Kajikawa/梶川 ゆう(Sayonara Nukes Berlin)
2) Michael Müller (NaturFreunde)
3) Alex Rosen (IPPNW)

デモ行進

4) Yoko Tawada/多和田 葉子 (作家)
5) AntiAtom Plenum
6) Uwe Hiksche (NaturFreunde)

パフォーマンス:Michiyasu Furutani/古谷 充康 (舞踏ダンサー)

かざぐるまデモフライヤー_2021

かざぐるまデモポスターPDF_2021

ウェブサイトhttp://kazagurumademo.de

主催:
Anti Atom Berlin
NaturFreunde Berlin
Greenpeace Energy      
Sayonara Nukes Berlin

共催:
AK Rote Beete
Anti-Atom-Plenum Berlin
BUND für Umwelt und Naturschutz Deutschland
BürgerBegehren Klimaschutz
BürgerInitiative Lüchow-Dannenberg
Coop AntiWar Cafe
Die Linke Landesverband Berlin
Friedensglockengesellschaft Berlin e.V.
IPPNW Germany
Japanese Against Nuclear
Kuhle Wampe
Robin Wood Berlin

                               
           

No nukes, clean energy