廃炉の話をしようや 2: 廃炉の期間,費用,廃棄物

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図2: グライフスバルド原子炉の建設,稼動,廃炉.一部のデータソースは[Greifswald]より.横軸は西暦年を示す

8.1 廃炉における除染作業

説明を受けてわかったことは,廃炉における除染作業とは,原発で汚染されていると見られるものの全てを1m x 1m x 0.7 m程度の箱に入るように切断し,そのうちのできるだけ多くが10m Sv/年の基準値以下となるように汚染度を下げる作業です.(この箱のはっきりした大きさはわかりませんが,写真で拝見した所,人との比較でこの程度の大きさのようでした.) 配管,ポンプ,容器,壁,全てをこま切れにして除染し,汚染を測定し,そして不合格ならまた除染作業をする.その作業は汚染が広がらないようにそれぞれが特定の小部屋の中で防護服に守られながらの手作業です.それを全ての箱が合格するまで繰り返す作業です.20年たった今の進捗状況は70から80%と推測されています.汚染度の高いものは,50年間中間貯蔵場に保管した後に切断され,さらに除染されます。

電力産業は廃炉が決定されたら終わりではありません.廃炉によってある程度雇用は維持されます.その土地を再利用するために,廃炉のノウハウが蓄積され,それがさらに産業にまで育っていく例がグライフスヴァルトに見られます.

グライフスヴァルト原発の跡地では,すでに一部が自然エネルギー関係の工場となり,洋上風力発電設備のコンポーネントが生産されています.生産された風力発電設備のコンポーネントは,原発の排水口を改造して造った港から洋上に運ばれます.原子力発電所に附属する変電所や送電線は,洋上風力発電で発電された電力や新たに建設される予定のガス発電所で発電される電力のために再利用される予定です.

原子力発電所は廃炉のステージに入っても数十年を越える雇用が必要であり,グライフスバルド市は廃炉のノウハウを蓄積し,産業化,それを輸出することで発展するという方針のようです.

8.2 第2回目のまとめ

20年かけてまだ終わらず,50年たってから作業を開始しようという部分もあるという廃炉の作業の期間は私には驚きでした.その費用もまだよくわかっていないことや,なにより誰が負担するのかはっきりしないことはどうも気分が晴れません.あまりに時間がかかるので,電気を使っていた人ではなく.電気を使ってさえいない人達が負担しなくてはいけないというのは,その国の将来の経済に負担となることでしょう.親の身代を潰すのは3代目という言葉も聞きますが,これから生まれてくる子の身代を潰すのは親としてどうなのでしょうか.

一方,ドイツのグライフスバルドの例は廃炉を産業化し,雇用を生み,未来へつなごうという試みとしても見ることができます.そして今後原子炉の廃炉の時代がやってくることをみこして,他の国へ技術を輸出しようとしている人達がいるというのはなんともすごいなと思いました.寿命が来た原子炉をひきとりたくない人は世界に多数いる.だからそれを処分する産業は金になる.したたかなものだな,と思いました.廃炉なんてめんどうなこと,あんまり考えたくないなという私がいる一方,グライフスバルドの話は私も見習う所がありそうだなと思いました.

さて,廃炉についてはざっとみてきましたが,では私は何かできるのか,たとえできないとしてもどうこの現実につきあうのか,ちょっと考えてみたいと思います.次回は廃炉の話の最終回になります.

参考資料

  1. [Tokyo Shinbun 2012年1月5日] 東京新聞, 45年で10兆円投入.核燃サイクル事業めどなく,2012年1月5日の記事,http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012010502100003.html
  2. [Greifswald] Wikipedia En, Greifswald Nuclear Power Plant, https://en.wikipedia.org/wiki/Greifswald_Nuclear_Power_Plant

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