廃炉の話をしようや 3: 市民としてエネルギー政策と向きあう

第2回目では廃炉の期間(最低30年)や費用(一般に不明,グライフスバルド原子力発電所の廃炉費用の試算は5000億円),汚染された廃棄物の除染の話をしました.廃炉とはプラントを 1m x 1m x 0.7 m の大量の箱につめ,除染作業をし,基準を満たさなければ,再び除染作業をしていくという作業でした.気の遠くなる作業でしたが,グライフスバルドはそれを産業として雇用を生み出し,技術を世界に輸出しようというしたたかさも見ました.

今回は勉強会を通して市民としてエネルギー政策に向きあうにはどうするのかということについて少し考えていきたいと思います.

9.今後のエネルギー開発にどう向きあっていくか

ふくもとさんから以上のような廃炉についてのお話のあった後,エネルギー開発について,市民がどう向きあっていくのかのお話がありました.まず,1992年のリオ宣言[Rio Declaration]の話をされました.これは持続可能な発展をどうするかについての国際宣言です.それに照らして,現在,コストが不明なものを次の世代に負担させて良いのか,それも実際には電気を使っていない私達の子達や孫達にその負担させる現状はどうなのか.ふくもとさんは,できるだけ正確な基本知識を身につけ,自分で考えて判断できるようにする,さらに自分の生活の中で自分に何ができるのかを考え,それを実行してほしいとコメントされていました。

10. 持続可能なエネルギー開発における廃炉の位置

ここからは勉強会を終えての私の考えが多々入りますので,それに興味のない方はここまでで読むのをお止めになってもかまいません.

勉強会ではふくもとさんがコメントとして 1992年のリオ宣言の話をされました.人類,それは個々の国の発展とも結びついていますが,たとえばある時代の人間が全ての資源を使い果たして子孫の生活を困窮させることはあってはならないという考えがあり,私も賛成します.もし持続可能な発展を考慮しなければ,その人々の子孫は負担を強いられ,最悪の場合には滅びへの道を歩むことになります.私はそのようなことを悲しく思います.現在の一時的な繁栄だけではなく,未来の繁栄,子孫の繁栄も必要と思います.

世界中で各国が子孫の繁栄を考えるのであれば,持続可能なエネルギーの開発をすすめなくてはならない.その方針が,1992年に国連が主催で出されたリオ宣言です [Rio Declaration]. そこには27の原則がありますが,特に原則1と3を以下に抜粋します.(日本語翻訳は私のものです.)

  • Principle 1. Human beings are at the centre of concern for sustainable development. They are entitled to a healthy and productive life in harmony with nature.
    (原則 1. 人間が持続可能な開発の中心として考えられるものである.人間は自然と調和して健康で生産的な生活を送る権利を持つ.)
  • Principle 3. The right to development must be fulfilled so as to equitably meet developmental and environmental needs of present and future generations.
    (原則 3. 開発の権利は現在と未来の世代の開発と環境の要求の両方を等しく満たすものでなくてはならない.)

廃炉という作業は残念ながらその作業を行なう世代には負担となるものです.現在の状況では,電気を使っていない世代が廃炉作業をしなくてはいけません.つまり未来から借金をすることで現在を繁栄させ,子達や孫達,その子孫にその負担を与えてしまう.子達に危険と借金を負担させることで,現在の料金を安くする.我々の世代はそのようにして繁栄を享受していいのか.それがこの国,世界の発展に結びつくのか.それを今からでも考えなくてはいけないと廃炉について学んで私は思いました.

また,情報は確かに日本語ではあまり入手できない部分もありますが,他の国の廃炉の状況などは英語などで公開されているものもあります.そういう部分からでも少しづつ知ることは今の時代にはある程度できます.福島という災害は,国土の一部を長期に渡って失うというものでした.それは住む場所がなくなる可能性や,住民,特に子ども達の健康という問題でもあり,私は少なくともそれを知り,言われたことを鵜呑みにするのではなく,自分なりに理解したいと思います.それが今後の発展する未来への一歩だと思います.

今後,福島の廃炉もそうですが,寿命の来た原子炉の廃炉費用は誰が負担するのか.そして廃炉で出てくる使用済み燃料の最終処分の方法はどうするのか,その費用はどうするのか.廃炉が高いのなら原発を止めておけばいいのでは,と考えたのですが,そうはいかないようです.原発は稼動しなくても維持費がかかります.日本全体で 2012年の維持費は年1.2兆円とされており電気料金等に上乗せされています[日本経済新聞 電子版 2013-3-29].福島は未来への借金を返す請求書がついにやってきたことかもしれません.できるだけ負債を返済して子孫達に負担をかけず,未来の発展を考える方向を考えていきたいと私は思います.省エネに気をかけることも1つできることと思います.また,今後自由化でどの電気会社を選ぶかも1つの意思です.そして選挙に行くこともまた1つの意思でしょう.他の国の例を調べて見ることもまた1つです.権益者の利益は結局消費者が払った電気代から来ています.それが本当にどう使われているのか知ろうとすることも1つでしょう.ここに書いたことは小さなことばかりです.そんなことをしても何も変わらないかもしれません.しかし,日常続けることが結局できることではないかと私は思います.一日一日は小さく,まったく変わっていないように見えても,知らないうちにどこかにたどりつくことができることもあります.まあ,そうでないことも多いでしょうが,無理とあきらめてしまえば改善は望めないことは確かです.未来の選択肢を残しておきたいというのが私の思う所です.

これもまた小さなことですが,私はこういう情報の発信も市民として1つのできることだと思います.英語や他の言語ができる人は海外の廃炉の情報などを翻訳して公開することもまた1つのできることでしょう.これを読まれた方,ここにある情報もけして鵜呑みにはせず,2次資料をつきあわせてぜひ御自分で納得して下さい.私は考えることを誰かに任せて,想定外の一言で片付けられるのだけは御免です.考えることもまた1つだと思います.

この勉強会のまとめがどこかで誰かのお役にたてましたら幸いに思います.

参考資料

  1. [Rio Declaration], Rio Declaration on Environment and Development, http://www.unep.org/Documents.Multilingual/Default.asp?DocumentID=78&ArticleID=1163, 1992
  2. 日本経済新聞 電子版 原発維持コスト、年1.2兆円 経産省が試算  2013/3/29, http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803Y_Y3A320C1EE8000/

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