最終処分の話をしようや (10): 付録 4: 最終処分の保存期間10万年の根拠は?

前回は線量の単位のシーベルトについて,それが測定方法に注意が必要なことを述べました.また,放射線にはいくつも種類があること,その修正係数の違いなどから,国によってもシーベルトは異なるものになることがあることを述べました.いろいろと難しい話だったと思いますが,自分や家族の安全を判断するには必要な「(生体が影響を受ける)放射線の強さ」についての話でしたのでできるだけ詳しく調べたつもりです.

今回は最終処分の話によく出てくる10万年という保存期間の話についてです.いったいこの期間にはどんな根拠があるのでしょうか?

採鉱時のウランの安全性/危険性

最終処分での放射線のレベルと経過時間との関係では,採鉱時のウランのレベルを基準としています.しかし採鉱時のウランの放射線レベルが安全なのか危険なのかという話がなければその基準がいいのかどうかわかりません.自然のものだからいつも大丈夫というわけでもないので,この安全基準というのはどういうものかという疑問がでてきました.例えば毒蛇や毒茸,火山地帯などで噴出するガスなどは自然にあるものですが,自然にあるから安全というわけではありません.

Wikipedia の劣化ウランの医学的危険性の主張と反論を見ると,日本の文部科学省は劣化ウランの毒性は身の回りの海水や土砂中に存在するウランと同じ又は小さい」(平成14年11月)と発表しています.しかしこれではウランそのものの危険性がわからないので,比較になりません.一方,劣化ウランの危険性の項を短くまとめると,「劣化ウランは重金属であり,重金属中毒の原因となる.その毒性は砒素と同程度である.」という主張があります.また,アメリカ政府とWHOは危険性に対する証拠は不十分であると反対しています.ただし,子どもは口にしないよう WHO は警告しています.またアメリカの法律では劣化ウランは有害物質に指定されており管理下に置かれなくてはいけません.

どうもわかりにくいのですが,危険という主張の方々がいる一方,そうではないと主張される方々もいます.危険とは言えないと主張する方々の意見をまとめると,劣化ウランは危険ではないが,有害物質であり,法的に管理下に置くべきものであり(米政府),子どもは口にしてはいけないものです(WHO).そして,自然にとれるウランは,この劣化ウランと同程度に安全(文部科学省)か,それよりも危険な毒性を持つということだと思います.これに関しての議論は(Wiki [1])などをご覧になって御自身で御判断下さい.

また,燃料 1トンあたり 1000 GBq 相当,つまり 1GBq/kg (=10億ベクレル/kg)というのはかなり大きな値ですが,燃料 1トンあたり相当というものの意味がはっきりしません.食品の基準が 100 ベクレル/kg というようなレベルなのに,10億ベクレル/kg というのはとてつもなく感じます.

1つはっきりわかることは,核燃料の最終処分ではこの10億 ベクレル/kg になるまでに,現時点ではこれまでの記事の中にあったように,10万年を越える年月を必要とするというグラフがあることです.

では10万年後には安全なのか,というと,そういう議論は別にしていないことに気がつきます.10億 ベクレル/kg は食品の基準から言えば1000万倍の濃度ですから,これは私の素人判断ですが,安全とは言えないと思います.10万年という数字をよく見るのはどういうわけなのか,今後も機会があれば調べてみようかと思います.

おわりに

今回で最終処分の話は一度終了です.しかし,最終処分の話は現在も進行形のものです.今回勉強会を含めて私自身いくつか考えました.核のゴミは誰がどう負担するのか. 残念ながらこれは我々と我々の後の世代が既に持ってしまった負債です.現在の技術では処理が困難なゴミは,少なくともその技術のめどがたつまでは増やすのをやめるべきだと私は思います.負債や借金を先送りにしても,やがて支払わなくてはいけなくなります.我々は今日のために万年という単位の負担を子孫に押しつけ,国の未来の発展を妨げる世代になるのだろうか.そんなことを考えました.皆さんは何をお考えになりましたか? ここまで読んで下さった方,何かの参考となれば幸いです.

参考文献

  1. Wikipedia, 劣化ウラン: 医学的危険性の主張と反論, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A3%E5%8C%96%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3, (Online; accessed 2014-12-21)

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